2回配本

高輪学報 【復刻版】

全13巻(全26号を合本)
<1901年〜1903年>

【監修】
龍渓章雄(龍谷大学文学部教授)
中西直樹(龍谷大学文学部教授)

【推薦】
赤松徹眞(本願寺史料研究所所長)


体裁/A5判、並製、総約3,000頁
揃定価/78,000円(+税)
刊行年月/2018年11月〜2019年5月

本の内容

『高輪学報』の復刻にあたって

龍溪章雄(龍谷大学文学部教授)
中西直樹(龍谷大学文学部教授)

 明治二十年代、青雲の志を抱いた青年仏教者たちは東京を目指した。彼らは、帝国大学や早稲田・慶應に学び、宗派の垣根をこえて結束すると仏教青年会を組織し、仏教界・思想界の革新を訴え、斬新な仏教弘通のための諸事業を展開した。明治三十年に入ると、宗派当局も東京進出を企図して高等教育機関を開設し、これが新たな仏教潮流を生む拠点となった。そして、その代表的存在が、明治三十四年に真宗本願寺派が京都仏教大学(現龍谷大学)の東京分教場として開設した「高輪仏教大学」であった。
高輪仏教大学では、前田慧雲・高楠順次郎・島地大等ら本願寺派の碩学をはじめ、小日向定次郎(英文学者)・波多野精一(宗教哲学者)・上田敏(英文学者)・斯波貞吉(後に衆議院議員)・高瀬武次郎(陽明学者)ら多彩な教員スタッフが教鞭を執った。
その校友会誌である『高輪学報』には、高輪仏教大学教員のほか、高木兼寛・志賀重昂・内村鑑三・徳富猪一郎(蘇峰)・郡司成忠・沢柳政太郎・松本文三郎ら各界を代表する著名人が寄稿した。また彙報欄には、学内団体「万国仏教青年連合会」の動向、海外布教などで活躍する同窓生・関係者の動静などが伝えられ、仏典英文翻訳も附録として収録された。
このように、『高輪学報』は一学校の校友会誌に止まらず、学術・教育・宗教の諸領域の関係者に大きなネットワークを有したが、その革新性を問題視する宗派内保守派の策動により、高輪仏教大学が明治三十七年に廃校に追い込まれ廃刊となった。わずか数年の刊行ではあったが、『高輪学報』が多方面に与えた影響の大きさに鑑み、ここに全号を復刻するものである。

配本概要

刊行年月巻数(収録号)ISBN価格
第1回配本2018年11月全6巻(第1号〜第12号)978-4-86691-036-936,000円+税
第2回配本2019年5月全7巻(第13号〜第26号)978-4-86691-043-742,000円+税