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吉田山叢書004

ポポロ協奏曲
偶坂市役所市民課だより

全1巻

◉著者 青池薔薇館
◉体裁 四六版・並製・220頁
◉定価 本体1,500円+税
     ISBN978-4-86691-773-3
◉刊行 2024年7月

●著者紹介
青池薔薇館(あおち ばらやかた)
1954年、東京生まれ。戸籍名は武藤整司。東京の他、横浜、新潟、京都、高知などを渡り歩き、現在は比叡山の麓に棲息している。ポエム・アルチザン(詩職人)を目指しており、日々詩作に打ち込むしか能のない木偶の坊を自認。本詩集の他に、『黒のソネット』(2020年)、『アルファベット遊戯』(2021年)(いずれも、澪標)が上梓されている。

本の内容

市民の希望に全力で応える偶坂市役所市民課は今日も大忙し。
妖精の着ぐるみを着て町に繰り出す妖精係の美作さん、
バーチャル・タイム・マシーンをあやつる時空係の境越さん、
広報係のナジルさんは口を開けば悪口ばかり、
たずね人係の犬花さんは「赤い糸で結ばれている人を探して」
と依頼される……。


[主な登場人物]

わたし……この物語詩の語り部。偶坂市民ではないが、よく同市を訪れている。

美作(みまさか)さん……妖精係。妖精の着ぐるみを着て、街に繰り出すことが仕事。市民のヒーリングを担っている。同じ苗字の遙ばあちゃんとの関係は不明。

美作遙(みまさかはるか)ばあちゃん……この物語詩に二度登場する偶坂市の恩人。

百面(ひゃくつら)さん……代行係。変装名人で、遙ばあちゃんのこころの恋人。

流暢(りゅうちょう)さん……ろうどく係。市民課のとても声のきれいな若い女性職員。デガラシ君に「ここねの時間」のモニターになってもらっている。この物語詩には二度登場する。

ナジルさん……広報係。古代ナジル人の血を引いているのではないかと言われている。口は悪いが、腹の中はさっぱりしている。「正直者は損をしない」が、口癖となっている。

板西(いたにし)さん……折衝係。市内で起こった論争を取りまとめる名人。年配の女性職員。

犬花(いぬばな)さん……たずね人係。県警の補助として、特殊なケースを扱っている。

秋梨(あきなし)さん……根性係。古代都市スパルタへの留学を経て、現職に就く。偶坂市の応援団長。

境越(さかごし)さん……時空係。BTM(バーチャル・タイム・マシーン)の調整役。

幕府来(まくふらい)君……境越さんの助手。偶坂大学の学生。今はアルバイトだが、将来境越さんの後を継ぐつもり。

ソークラテース氏(蘇氏)……古代ギリシアの哲学者。偶坂市に招かれて、しばしば同市の問答大会に参加している。この物語詩には二度登場する。

甲森(こうもり)さん……計量係。寡黙で沈着冷静。市民の芸術作品の価値を厳正に吟味している。

招猫(まねきねこ)さん……うんどう係。「塁球」の考案者でかつ普及者。オソリンピックも取り仕切っている。この物語詩には二度登場する。

荒尾一貫(あらおいっかん)氏……元の市民課たべもの係。現在は停年で退職している。「アラカン」が愛称。謎の人物と同一人物かもしれない。

アラウンド還暦の謎の人物……荒尾一貫その人ではないかと言われているが、真相は不明。「魔法のランチ」の仕掛人ではないかという噂もある。

チャリババ……自転車行進が日課のおばあちゃん。辺留舎町在住の馬場亜里さんではないかと言われているが、本人は肯定も否定もしない。

シーツさん……偶坂市民になったのが十年ほど前。サイクルショップを経営するナイスガイ。マイカ(雲母)を用いたオブジェづくりが趣味。

阿仁丸(あにまる)さん……どうぶつ係。観光犬パトの生みの親。

次番(じばん)爺さん……亡くなったパトの元の飼い主。パトにフラダンスを仕込んだ張本人かもしれない。

復元(ふくもと)さん……元通り係。辣腕女性職員。気苦労が絶えないが、竹を割ったような性格。

板割(いたわり)さん……時貯め係。福祉課から市民課に出向している。恰幅がいいが機敏。

森守(もりまもる)さん……親林係。環境保護省から出向している森林保安官。「モリノカミ」と呼ばれている。しょくぶつ係の草木さんと共同作業をすることもある。この物語詩には二度登場する。

物尻(ものじり)さん……なぜなに係。博覧強記の強者。さまざまな分野の専門家とネットワークを形成している。
神様(かみさま)……物尻さんの最後の拠り所。誠実なので、人間のように誤魔化したりはしない。

八木(やぎ)さん……偶坂診療所の医師。世界を渡り歩いた経験が今の診療を支えている。白いあごひげがトレードマーク。

道筋論美(みちすじろんみ)さん……偶坂大学一年生。高校生の頃、問答大会で、ソークラテース氏を黙らせたこともある。したがって、この物語詩には二度登場している。

岩壁(いわかべ)さん……総合窓口係。モンスター・クレーマーが市役所にねじ込んで来ても大丈夫。弁が立ち、体格が立派な岩壁さんが立ちはだかるから。

五味(ごみ)さん……いらないもの係。偶坂市役所市民課一のスタイリスト。市民のマイナス感情を坦々と浄化する毎日である。

住吉(すみよし)さん……くらしかた係。コレクティヴ・ハウスの管理運営を肝入りしている女性職員。一部の人の間では、「エンジェル」と呼ばれている。

喜古無(きこなし)さん……きるもの係。ファッションに関するエキスパート。主にファッション・バザールを企画・開催しているが、古着の再生もお手のもの。

草木(くさき)さん……しょくぶつ係。樹木医の資格を持つ彼は、植物語(樹木語や草花語)にも通じている。森林に向かうときは、親林係の森守さんとよく連携する。

デガラシ君……市民課をよく訪れる暇人。四十を過ぎているが、小学生のように小柄である。「出涸らしでいいから、お茶ちょうだい」が口癖。飄々としているが、けっこう辛口の小父さん。流暢さんの「ここねの時間」のモニター役でもある。

河原萬(かわらばん)さん……ミニコミ誌『ヌーヴェールたまさか』の敏腕編集長である。さまざまなアイディアをたちどころに生み出すのが特技。愛称は「バンちゃん」。

金(きん)ちゃん……フルネームは近山金次郎。まだ生まれたばかりの赤ちゃんなのに、とてもヤンチャ。やがて、「暴れん坊金ちゃん」と呼ばれるようになる。

金ちゃんの両親……金ちゃんを持て余しながらも、子育て奮闘中。

歴代の市長……行政の長ではあるが、たいがいは極楽トンボ。それでも、市役所の職員が補佐して何とか務まる。